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UBIET 新作

2007. . 13
2006年7月に2作目のソロアルバムをリリースしたUBIET。その知名度はここ数年で急激に上がっているようです。元々シリアス・ミュージックやトラッドを守備範囲とするイメージが強い人でしたが、やはりKrakatauへの参加を契機に、アチェ人の血を引くという出自が時流と相俟ってその存在を印象づけたのでしょう。穿った見方をすれば「津波おばさん」的アイコンとして祭り上げられている可能性も否定できないのですが(汗)、契機はどうあれ、才能があり且つ真摯に音楽に取り組んでいるミュージシャンが表舞台に出てくるのは喜ばしい事ですね。

で、まずは彼女の略歴などを。
UBIET、本名Nyak Ina Rasueki、1965年アチェ人の父とパダン人の母の間に生まれ、アチェで育つ。"Ubiet"とはアチェの言葉で「小さい」の意味。IKJ(ジャカルタ芸術学院)でクラシックからポピュラー、民俗音楽に至るまでを学び、更に奨学金を得て米国ウィスコシン州メディソン大学にて民俗音楽学のドクターコースへ。音楽活動は1990年代半ばにはポピュラーバンドに所属するも、レコーディングにおける実質デビューは現代音楽家Tony Prabowo の"Commonality"(1999)
2000年には作曲家Dotty Nugrohoの協力を得て当時の所謂ニューエイジ・ミュージック寄りのエスノポップ作「Archipelagongs」を発表。

***


UBIET
Archipelagongs

WEA 39844-29441-2

リリースは2000年だが制作は1997年。エスノ・テイストと雄大なサウンドスケープを兼ね備えた温かみのあるポップサウンド。タイトルか ら伺えるようにインドネシア列島を音楽で巡る内容で、何故かジャワは含まれていない。曲毎に各地の音楽スタイルを踏襲している様で、楽曲に合わせてヴォーカルスタイルも変幻自在に変わる。エキセントリックな部分も散見され、時にDiamanda Galasを思わせるような場面も。M2の"Gates Of Puya"の幾重にもダビングされたコーラスは(何度も言う様に)鬼気迫る凄まじさである。ただここで用いられている「インドネシアン・イディオム」はかなり脱色・脱臭されているのも事実で、「コマーシャルなニューエイジ・ ミュージック」としては「正解」だろうが全体的には無難な作りとも言える。大半が英詩で歌われているのもその一因か?。・・つか"ニューエイジ"なる言葉も今となっては懐かしいわな(笑)。
初めて聴いたときはカセットだったせいもありあり、今一つの印象だったが、今回数年振りに聴いてみると、程々にエッジも立っており意外と面白く聴けてしまった。興味のある方はカセットではなくCDで聴くことをお奨めします。
バックミュージシャンはギターにTohpatiとDewa Budjana, ベースにIndro HardjodikoroとBintang Indrianto、民族楽器はDjaduk Ferianto&Kua Etnika、等々当時の最強面子ですね。更にOppie Andarestaなんて名前も見えてます。


***


同アルバム発表後の活動は私が知る限りでは表立ったものはなく、むしろ母校IKJの講師として活躍していたようです。が、既述のようにKrakatauのピンチヒッターとして呼ばれてからは、Simak DialogDewa Budjanaの5枚目のソロ、前々回触れたADA Band、そしてKrakatau の2枚、と約1年ほどの間に5枚のアルバムに参加、更には自身のソロも制作しているのですから相当精力的と言って良いでしょう。 ジャズからポップス、現代音楽までを網羅するオールマイティーぶりも凄いですが、UBIET自身はジャンルに対するこだわりはないようです。

***
Pontianak Post (30 Oct 2005)"Sosok dan Kiprah; Ubiet"・・・より以下一部抜粋の要約。

Q.今日までにあなたに影響を与えた人は?

A.特定の手本や師匠の影響下にあるとは決めたくない。トラッド、現代、クラシック、ポピュラー等いろんな音楽を聴いてきたし、歌手も 同様。要は先生が沢山いるということ。又15年前、より多くの歌唱スタイルを聴くいて(自らの?)新しいスタイルを見出したいと考えからでもある。 特に誰かの後押しがあったわけでもない。アチェに居た時は今風の歌い方を習ったし、伝統唱法も聞いた。IKJに入学後はクラシックやオペラの歌唱を学んだけれども伝統歌謡にも再び惹きつけられていた。迷いがあったのだろうけれども、自分の求める音楽が何か分らず、ポピュラーに行ったりクラシックに行ったり、又クラシックに飽きたり、色々な学科を渡り歩いた。そこで自分の音楽を探すことを始めた。

Q.革新的音楽へ一般聴衆の関心を向けさせようという意図はあるのか?

A.決してポピュラーもクラシックも拒んでいるわけではない。ただ作曲家によって歌い方は変える。トニープラボウォの"ムハンマドへの微笑み"を歌った時はその曲のスタイルに合わせるし、ポピュラーだったらそれに合わせる。Krakatauでもそれは同じ。但し自分自身のスタイルは必ず維持している。
***


更に上記インタヴューではKrakatauの西ジャワ的な音楽に対し、彼女自身のルーツであるムラユ音楽の融合を試みていることなども語られています。で、他にも一杯面白いこと書いてあってホントは全部訳出したいのですが、私の語学力ではちょっと苦しくご勘弁(汗)。・・というか引用の仕方も今一だわな。
一応原文はこちら↓
http://www.pontianakpost.com/berita/index.asp?Berita=Tokoh&id=102233

さて、勢いに乗った彼女は2006年半ば、インドネシアを代表する現代音楽家Tony Prabowoの楽曲を採り上げたアルバムを2枚目のソロ作としてリリースします。これがカナリ良い感じなのですよ。

***


UBIET
Music for Solo Performer
Musikita MKMCD 4 069

「現代音楽」とは言え、かなり聴きやすく、一部を除き「ヒーリング音楽」としても通用しそう。賛美歌的なM-3、ENYAを連想させるM-4,M-8,M-11、何気にスウィンギーなM-10の管弦楽もグー。一方でChairil Anwarの詩を用いたM-5、弦がギコギコいうM-6~M-7、ヴォーカリゼーション全開のM-9は硬派の人向けのカッコよさ。ただそうしたエキセントリックな部分も含めて全体的には透明感のある美しさが支配的であり、難解さは感じられない。 ライナーによるとTony Prabowoとの協力関係は80年代末から続いおり、作曲途上の作品にUBIETが独自の解釈を加えて完成させる作業も行っていたとの事。今作は1998年から2005年までにレコーディングされたTony Prabowo作品集。11曲中6曲は詩を用いたもの、6曲が意味を持たない音節による作品。是非とも先入観なしで聴いてもらいたい。
まずはEquinox経由iTunesで。
⇒試聴 Equinox DMD UBIET


***


リンク
MUSIKITA NET
KRAKATAU
Newsmusik記事 (Archipelagongsリリース時)


拙BLOG関連ポスト
⇒Krakatau新譜
⇒Simak Dialog "Patahan"
⇒ADA BAND "Romantic Rhapsody"
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