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ポップインドネシアに関する書籍2冊

2016. . 08
buku indo

以前から何度か述べているように、インドネシアの大衆音楽のアーカイブ化は着々と進んでおり、2016年にはアーカイブ管理プロジェクト”Irama Nusantara”BEKRAF(創造経済庁)正式に協力関係を結ぶまでになった。ただそうした音源のア-カイブ化が進む一方、ポップス・シーン全般を俯瞰できるテキストはなかなか目にしない。
2008年に出版のMusisikuは個々の音楽家に焦点を当てた比較的良書であり、この手の書籍の元祖として評価できるものの、不正確な記載も多く、バイブル的な位置づけには不足だった。
その意味で2015年に上梓されたDennie Sakrieの著作「100Tahun Misik Indonesia:インドネシア音楽の百年」が同国のポピュラ-音楽を時系列で俯瞰できる唯一の書と言ってよい。
音楽評論家Denny Sakrie、本名Hamdhan Syukrieは1963年生まれ。中学生時代からスラウェシの地元紙に音楽記事を投稿しはじめ、以降HAI、GADIS、といたティーン雑誌からSinar Harapan、Republika等の全国紙、また後に創刊されるNewsMusikや、Rolling Stone(インドネシア版)といった音楽専門のメディア、さらにはTEMPOといった一般誌においても膨大な量の寄稿を続けた。またラジオ放送における音楽DJとして良質な音楽の紹介、更にはWEBLOGにおけるさまざまな切り口での音楽エッセイを発表し続け、その集大成の第一弾となるのが「100Tahun Musik Indonesia」である。
本書はインドネシア最初のレコード会社が「設立された1905年からデジタルメディアの普及によるパラダイムシフトが起こった2005年までを区切りとし、時系列、ジャンル、フェノメナルな事象など、その大まかな流れを把握できるよう構成されている。完全な書下ろしではなくWEBLOG掲載の原稿をソースとしているが、160ページという適度に抑制されたテキスト量と相まって、全体像の俯瞰という点においてはもってこいの資料といえる。一方細部にわたる事情は省かれており、コレクターのバイブルとして使う類の書物とはなっていない。マニアックな情報はその気になれば、いくらでもWeb上で検索できるのだから、潔い省略という見方も可能だ。
著者のDenny Sakrieは、大変惜しいことに、本書を上梓したあと間も無く亡くなったが、更に複数の、別の切り口での出版を考えていたそうだ。
今となっては望むべくもないが、残された相当量のBLOG記事から彼の視点を知ることは今も可能だ。 BLOGでは同書で省かれたかなり細かい情報も書かれているので、もし興味があれば読んでみてほしい。

https://dennysakrie63.wordpress.com/


さて同書に先立つ2年前、インドネシアのポピュラ-音楽に冠するもう一冊の興味深い書籍が出版されている。Theodore KS著「Rock' N Roll Industri Musik Indonesia : ロックンロール・インドネシアの音楽産業」がそれ。著者のTheodore K.Sはインドネシア著作権協会ASIRIの会頭。タイトルのとおり音楽産業の変遷を切り口にしており、365ページに及ぶそのテキストはトリビア的な内容にも富む。特に1970年代から始まっていた海賊盤業者とのいたちごっご、国際問題までに発展した"LIVE AID”海賊盤事件などは興味深い。一方売上高や価格等、いささか硬い内容もさることながら、固有名詞の羅列で5ページ近く埋めたり(表にまとめろよw)、著作権協会の人事の話等、「読み物」としてはどうか、と思う箇所も多い。
まあそうした「難点」がありながらも「内容の濃さ」という点では特筆できるもので、まずはDennie Sakrieの著作に目を通し、さらにTheodore KSの方を読めば同国のポピュラ-音楽史の理解はよりいっそう深まると思う。

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