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インドネシアのプログレ事情 改定ダイジェスト版 (後)

2013. . 28
続き。80年代後半から直近まで。
70年代から80年代前半はこちら↓
http://ganqtan.blog4.fc2.com/blog-entry-218.html

1.80年代後半~90年代の時代背景
80年代後半~90年代前半は、民放テレビの放送開始とMTV、ポップ小説の流行、右肩上がりの経済、中間層の登場。音楽面ではジャズフュージョンの流行とメタル勢の台頭。こてこてバラード+メタルな「スローロック」が流行ったのもこの頃。
90年代後半はアジア通貨危機とジャカルタ暴動・30年に及んだスハルト独裁体制の崩壊、言論の自由と普通選挙。混沌の時代、メインストリームのポップスバンドも個性を発揮。今日に連なるインディーズ・ムーヴメントの萌芽。ただプログレ的には沈滞期。


2.ミュージシャンと作品

Makara "Larong Larong" 1986
おなじみAndy Julias、実弟で後にKLa Projectでスター街道を邁進するAdi Adrian参加のパワーポップ寄りプログレ。70年代末期の学生運動の中生まれたSangkakala、ナレーションとコーラスが印象的なFabelなど、政治的なメッセージを色濃く反映しながら非常にキャッチー。シティーポップス全盛の当時はGodblessを引き継ぐバンドとみなされていたとか。


Cockpit Band 1980?~
ジェネシスのクローンバンドとして著名なCockpitはレコーディングアルバムはないが、いまだ現役。プログレ期からポップス期まで何でもおk。初期のヴォ-カリストのFreddie Tamaelaはソロを残しておりRonnie Harahap(Guruh GipsyのKey)による曲はジェネシス色濃厚。
Lamb Lies Down on Broad Way (1984)


Kantata Takwa ”(S/T)" 1990
Iwan Fals, Sawung JaboらのバンドSuwamiに、スポンサー兼ギタリストの大富豪Setiawan Djodi、音楽監督のYockie Soeryoprayogoが加わった社会派バンド。Suwamiのフォーク的音楽性+パワーポップ系のシンフォニックロックで、イスラムの祈祷を含むトップチューンは異色。バンドはその後、Kantata Samsara(1995), Kantata Revolvere(1998)と発展、アジテート/カリカチュアロックとして凄みを増してゆくが、プログレ色は後退。


Gank Pegansaan "Palestina" 1991
Nasution兄弟、Harry Sabar、Harry Moektiらによるシンフォニックなパワーポップ。ある意味時代の音。




3.00年台の時代背景
前半にはバリでの爆弾テロ、中期にはスマトラ沖大地震等、大きな出来事もあるが、金融危機をのりきった復活期。内実はともかく完全な民主国家へ。音楽面ではタイ同様所謂「渋谷系」寄りの動きが隆盛、後半にはシューゲイザー、ノイズ、ポストロック等、多岐にわたる良音楽家の活動も目立ってくる。プログレ面ではDiscusの登場、インドネシアン・プログレッシヴ・ソサイエティーの発足、複数のプログレバンドのメジャーレーベルからのデビュー、2回のプログレフェス開催等、00年代前半は盛り上がるが後半は失速気味。


4.ミュージシャンと作品

Discus "1st" 1999
本人たちはプログレを意識せずに製作。リリース元がイタリアのMellow Recordsとなり、後付的にプログレ認定。エスノジャズロックからシティーポップス、ジャズフュージョン、現代音楽風とヴァラエティーに富んだ曲を収録。完成度は半端ながら、光る部分は沢山。インドネシアのシーンに注目を集めるきっかけとなった作品。


Discus "tot licht!" 2003
個性・演奏技量・質の面から、世界レベルで00年代を代表するバンドの一つ、でいいのかな。2000年の米国Progdayへの出演等、国外で認知度も上昇、意識的にプログレッシヴ・ロックとして製作された2nd。ジャズロック~メタル~シンフォ~エスノ~アヴァンギャルドを横断する破天荒なサウンドは「カオス」「闇鍋」「ラーメン二郎」等、如何にもな評価。ただZorn~Pattonを通過した混合音楽と捉えれば、現代的なプログレの真骨頂で、ある意味オーソドックス。ただ恐ろしくパワフルな作品であることは間違いない。 で、バンドは一時解散状態にあったが、なし崩し的に復活。但し活動は不定期。 当稿冒頭でも述べたように、CD発売は日本(2003年6月)→インドネシア(2003年10月)→フランス/現流通盤(2004年2月)の順。


Simak Dialog "Trance/Mission" 2002
それまでのジャズ・フュージョン色を一掃、プログレッシヴ・ジャズに舵を切った3rd。全体的に地味だが幽玄でパーカッシヴな作風。エスノ要素は表面的・装飾的な使い方を回避しながら奥深く洗練の中に消化。試行錯誤も見えるが、それ故飽きが来ない。M2の"Throwing Words"は今でもライヴのクロージングで使われる定番曲。


Simak Dialog "Patahan" 2006
ライヴにして新作。2ndアルバム後半に見られたメランコリックな要素と前作の硬質な要素をバランス良くミックス。クラシカルなリフも随所に見られ、「プログレ」的な取っ掛かりは最も容易か。19分に及ぶ"Kain Sigli"での民謡要素+叙情的メロとUbietのヴォーカリゼーション、抑制されまくった演奏から滲み出る緊張感は白眉。 初めて米国盤もリリースされ、バンドにとっての記念碑的作品かも。



Simak Dialog "Demi Masa" 2009
Trance/Missionでみられたエレピ中心のジャズロックがほぼ全編を支配。親しみやすさは大幅に後退しているが、捻くれまくったリフと催眠的パーカッションが得も言われぬ緊張感をもたらす。愚直なまでにわが道を行く彼らのスタイルが完成を見た感。


Imanissimo "Z's Diary" 2005
ソニーインドネシアのプログレ専門サブレーベルPRSからリリース。40分近い組曲含むプログレメタル寄りの音像。壮大・SFチックな宇宙観はRUSHのJacobs' Ladderを延々やってると言えば判り易いか?お約束のトラッド要素はスパイス程度ながら絶妙の匙加減。



Vantasma "Beyond Fallen Dreams" 2006
これもPRSからリリースされたポンプ系。ゆったりとした序情味と美メロ・構成力の高さと確実な演奏力。オーソドックスながら最も聞きやすいインドネシアン・プログレかも。


Anane "Evolution Ethnic/Slebar Slebor" 2006
PRSリリース。大衆フォークにサックス・チェロ・メロトロンを突っ込んで、無理やり暴走させたチンドン系土着ロック。所々録音が杜撰なのだが、却ってヤケクソ感を増幅。 リーダーのFirman Sitompulの音楽への取り組みは真摯なもので、この後現代音楽/エスノ・ジャズのWayang Sadrahらと新プロジェクトを企画していたが、2008年に急逝。無茶しやがって・・・
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Makara "Maureen" 2008
インドネシアプログレ界のドン、Andy Juliasが自らのバンドを22年ぶりに復活。ツイン・ボーカル、マレー・ロック的なポンプ系バンド。甘いメロとゆったり目の演奏にメタル風味少々。PRS第何弾だか忘れた。


Electric Opera 2008
PRSからリリース予定だったが、数曲をレコーディングしたのみで活動停止。極めて高いポテンシャルを持ったバンドだった。音は下記リンクで1曲のみ試聴可と思ったが駄目ですな。
https://myspace.com/theelectricopera

Riversible Circle 2008
こちらも高い音楽性を持っていたが、Electric Opera同様CDリリースには至らず。Myspaceの音源も消失。デモ音源は手元にあるんだけど・・・・。


--非プログレ・近似ジャンル--

Dewa "Bintang Lima" 2000
日本で言えばB'zとかミスチル的ポジションかもしれないメインストリームのトップバンドによるトップセラー。雄大な美メロ、コーラス、派手なストリングス等、プログレ・リスナーのつぼを刺激しまくり。丸出しのクイーン・エピゴーネンっぷりもナイス。


Krakatau "Magical Match" 2000
ガムランを大胆に取り入れた所謂"ワールド・ミュージック"風で、かなりポップだが、ジャズ・ロック的グルーヴ、深くまばゆい音像は"ジャンル"を無効化。万人に勧められる親しみやすさとカッコよさを兼備。
<BR>

Krakatau "Rythm of Reformation" 2006
こちらは非常に実験的。クンダンをはじめとする伝統打楽器群に電子音、ヴォーカルだけで構成された、ほぼパーカッションだけのアルバム。下記ビデオはトラッド色が強いが、アルバムはかなり硬質、ミニマル+エレクトロを交えたそそり立つ圧倒的な音像、Ze'vかはたまたボアドラムか。


Sujiwo Tejo "Syair Dunia Maya" 2003
伝統舞踊家/怪優Sujiwo Teoのソロアルバム3作目。プログレを意識した作品ではないが、荘厳さと下世話さが同次元で共存。ジャワ古語の詩、暗黒チェンバーの如く不気味に軋むストリングス、かと思えばムード歌謡や狂言寸劇、一部ジャズロックも交えて奏でられる歪んだ幻想世界。特異な音像はジャワの王宮でArt Zoydとマヒナスターズが共演するかの如し。個人的にはDiscusに匹敵の推し。


Ubiet "Kroncong Tenggara" 2007
伝統ポップスのクロンチョンをUbietがDian HPやRiza Arshadと共同で室内楽仕立てに。メロは親しみやすいが、曲構成はかなり挑戦的で一部現代音楽風の箇所まで。ヨーロッパのソフトチェンバーにも比肩するずっしりとした聴き応え。下記ビデオはオリジナル編成ではないが、アルバムの雰囲気を最も端的表しているので。


Santamonica "Cuiouser & Curiouser" 2007
シューゲイザーやポストロックの要素を織り込んだポップ・エレクトロニカ。こちらに入れるには少々気が引けるが、カレイドスコープのようなファンタジックでブ厚い音像、随所に現れる変拍子はプログレ境界線に近接。2010年にはビクターから日本盤も出ている。


Tepellere 2006
所謂エスノ・ジャズロック的な音だが、過去の同様のバンドとは一線を画すポストロック世代のセンス。CD等販売用音源は出さずに活動休止。下記リンクから複数曲DL可。
http://tepellere.synthasite.com/



5.10年代以降
なんだかジャズロック勢が元気良い10年代。コンピ企画も複数あるようでど真ん中プログレ復活成るか?


6.ミュージシャンと作品

Tohpati Ethno Mission "Save The Planet" 2010
所謂ガムラン・フュージョン系では現状最も秀でたバンド。ディシプリン期クリムゾンや, マハヴィシュヌ・オケにも共通するパワフルなジャズロック、Bruffordの某曲引用も顔を出す。以前のソロアルバムではおとなしかったTohpati、ついにキレたのか、ワールドマーケット向けに器用さで作り上げたのか。「取り敢えずこの一枚」としては最適な充実度。


Tohapti Bertiga "Riot" 2012
吹っ切れたのか、気まぐれなのかはよく分からんけど、Ethnomissionに続く快作。根はロケンローなのに変拍子・骨折展開だらけ。トリオ編成(=Bertiga/ブルティガ)でファイト一発ノリ一発の一発録り。痛快で捩れた音楽。


Ligro "Dictionary 2" 2012
手練のベテラン達が、マハヴィシュヌ、ブランドX、ジェフベック・グループの音楽性をアヴァンロック的パワーでねじ伏せた現代的ジャズロック。アグレッシブさにおいては随一。 但しCDは音悪いので注意。特に1stは宅録レベル。


I know you well miss clara 2013
ジョグジャの新鋭。ソフツ、ハットフィールド、ザッパ、RIO系を通過した正統派ジャズロック。デビュー作は既に米国MoonJuneからの全世界リリースが決定。超々期待の新人。


--非プログレ・近似ジャンル--

Zoo "Trilogy peradaban" 2010
ジョグジャのハードコア・パンク。Ruinsに酷似したスタイルから徐々にオリジナリティーを獲得。リーダーのRully ShabaraはWukir Suryadiとのアヴァンギャルド・デュオSenaywaでも活動中、内橋和久との競演盤は記憶に新し。


Attilion "It Must Be" 2011
ジャカルタの新鋭マス・ロック・バンド。プログレコンピに参加しておりプログレでも良いかも。






以降この稿不定期更新の予定。

元になった昔のエントリーはこちら。「発掘中」の当時の空気は感じられるかも。
(1)2000年 導入的エントリ。まだ手探りですね。
(2)2001年 Discus練習見学、Andy Julias&Iwan Hasanとおしゃべり
(3)2002年 クロノロジー、M97FM訪問
(4)2002年 直近バンド、クロノロジー補足
(5)2003年 Discus日本盤リリースとライナーノーツ補足
(6)2004年 Discusの反響、他の新鋭バンド等

・・・2000年代末ごろまで特に過去の音源ははWEB上の情報も少なくて、ジャカルタの露天市で自分の足で探すしかなくて、其れは其れで特別な面白さはあったんですが、便利な世の中になったもんですね。

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