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【お楽しみ】勝手に選ぶプログレ30選(後編)

2012. . 17
続きです。

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50選掲載の他のBLOG
⇒PROGRESSIVE ROCK ADDICT
⇒TenForward Music Blog 
⇒ナゴヤハロー(裏) The 小ネタ集
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■Magma "RetrospektiveI-II"(1980 France)
いわゆる「プログレ」カテに分類されるバンドで現存する最強のグループだと思います。所謂英国の「何大バンド」が良きにつけ悪しきにつけ「ロックバンド」の域にとどまっているのに対し、彼らは音楽としての、より大きな何かを有しているというか。本作はライブ・アルバムとしての迫力や生々しさは「Toulous1975」に譲りますが、緊張感は負けておらず、何よりもTheusz Hamtaahkの完成形が聴けるのが大きいです。更に全篇にわたりパガノッティ無双。文句ありません。

■Massacre "Killing Time" (1981 USA)
で、これをプログレとして扱うか否かって微妙なところと思うのですが、ヘンリーカウ以降のアヴァン・ロックの雛形として文脈的にギリギリ入れていいのかな、と。音具としてのギターを極限まで使ったインプロを主体としながら、エラー起こしたサーフロックみたいなサウンド。軽快さが心地よいです。

■Mauro Pagani (S/T) (1978 Italy)
地中海風叙情、適度な実験性、ジャズロックチューンの圧倒的な演奏、静から動まで多面的な味わいがあり、尚且つ一本筋が通っていて、非の打ち所なし。エスノジャズロックとかプログレって言うよりロック名盤何選に選ばれても良さそうです。欲を言えばMinieri&VivaldiのCarnascialiaとペアで聴くとこの世界に完璧にはまれるかと。

■National Health (S/T) (1978 UK)
同系統の音が好きなのに何故Hatfieldを好きになれないかというと、リズム隊が脚気病んでるみたいだから。 National Healthではこれが改善されるどころか、貧乏揺すりみたいに落ち着きがない。世間的にはいざ知らず、このパイル&マーレイのコンビは数あるドラム&ベースのコンビの中でも最も好きな組み合わせです。因みにBill Brufford参加のライブ音源も聞いてみましたが、グルーヴの欠片も無く、ビートが仁王立ちしている様でした。アルバムのゴチャゴチャした音像はとっつきにくいですが、慣れると病み付きになります。

■Osanna "Palepoli"(1973 taly)
自分にとってのプログレのスタンダード。唯一無二。これ聴かなかったら、この後もありませんでした。ただ冷静に考えると、これを聴いた高校生当時の感受性と合致しすぎた故の「孤高の存在」であって、ホントに凄いのかどうか判らんのですよ。正直。

■Picchio Dal Pozzo "Abbiamo Tutti I Suoi Problemi"(1980 Italy)
最初に聴いた時は意味不明の不協和音の塊にしか聞こえず、どうやって聴いたらよいかさっぱり判らず。それでも繰り返し聴いていたのは何か惹かれるものがあったわけで。最終的には自在に脳内再生できるようになりました。機械仕掛けの迷路のようで何処と無くユーモラス。スガルジャンツァPart1 は携帯のリングトーンにしたいくらい。

■Simak Dialog "Trance/Mission"(2002 Indonesia)
今回リストアップした唯一のインドネシアもの。他のバンドを入れていないのは、どれほど優れていても想定を超えていないから。例えばDiscusの2ndは、個人的には当時の「現代プログレの理想形に到達した」という印象で、極端な作風ながら想定内の作品。感激したがサプライズはなし。 逆にSimak Dialogの3rdは、完成度に多少難があるものの、個人的には「聴いたことのない音楽」であり且つ「自分の感性に合致するもの」でした。実際初回で2度も通しでリピートしたアルバムはこれ以外思い当たりません。綴れ折りのようなエレピのリフを主体とした、物凄く地味なジャズロックですが、じわじわと来る緊張感と叙情みは、有りそうで無い独特のもの。

■Soft Machine "4th" (1970 UK)
アルバムとしてはVol.2を推したいのですが、冒頭のTeethが好き過ぎて、これ一曲で他のソフツ曲すべてが吹っ飛ぶくらい。曲単位だったらプログレと名のつくすべての曲で1~2を争うくらい好きです。

■The Work "Slow Crimes" (1982 UK)
これもプログレかって言うと微妙な感じで寧ろポストパンク。スタイル的にはビーフハートもどきですが、時代もあってかこの攻撃性と殺伐感はベクトルが違うかと。手法的にはもっとユニークで、結構発見させられることも多し。MassacreにせよArtBearsにせよThe Workにせよ、HenryCowに内包された色んな手法・思想を換骨奪胎したヴァリアントという点では「プログレ」と形容できるし、又換骨奪胎故にプログレとは違う次元に移行しているというか。時代時代の先鋭的な音楽を追う上では外せないでしょうし、今尚面白い音楽だと思います。

■Tipographica "God says I can't dance!" (1996 日本) 90年代中期、日本のこの手の音楽が世界の先頭集団に入った、と思わせたグループ。勿論これはティポに限った話ではなくて、ホントに優れたアングラバンドが幾つも出てきてシーンが急速に充実していった感がありました。本人たちは全くプログレのつもりでないのかも知れんけれど。

■Univers Zero  "Ceux Du Dehors" (1981 Belgium)
Art Zoydと並ぶチェンバーロックの実質的始祖。恐らく日本に入荷されたばかりの頃、某レコード店にあのジャケットが面出しされていて、それだけでも存在感あったのに、聴いてみたら高速で疾走する管弦楽だったわけで、シンフォ主体に聴いていた耳には衝撃的でした。

■U Totem "Strange Atractor"(1994 USA)
ヘンリーカウ・タイプの音楽を「おしゃれ」といって良いほどにスタイリッシュにした作品で、チェンバーロックのシリアスさを持ちつつも極めて軽快。聴いた当時は目から鱗。日本のポップイメージを巧みに織り込んでいるのも面白くて、何度聴いたことか。このあたりの米国RIO系って、なんとなく忘れられちゃっているような気がするんだけれど・・・。

■Yes "Close to the Edge"(1971 UK)
スタンダード過ぎてアレですが、今でもその独自性は色あせてないと思うのですよ。このアルバムは特に。バラバラのパートを繋げてったら、こんな異様なものになってしまい、作った本人たちも「なんじゃこりゃ」とか思ってたんじゃないかと、つい想像します。

■Yochk'o Seffer "Ghilgoul" (1979 France)
ZAOの音楽が今ひとつしっくり来なくて、その答えが此処にあったというか。RIO一派とは又異なるシリアス系ジャズロックの秀作。一部構成に粗さもあるものの、その聴き応えはがっつり。

■ZNR "Barricade3" (1976 France)
ZNRというと次作の評価がやたら高いですが、「丸出し」の音で無造作に作られた本作のほうがキッチュで独特の存在感があります。「家具の音楽」といえばこちらのほうがそれっぽい。これまた愛すべきアルバムで、Aksaq Mabouleの評で「ZNRより云々」と述べたのは2ndの方。



◆◆◆


以上が私的30選。選んでいて気づいたのですが、自分自身「プログレ」という言葉を割と狭い意味で捉えているのだなあ、と。そんなはずじゃなかったんだけど(笑。
字義通りのプログレッシブな音楽は上記以外に山ほど存在していて、例えば最近だとSajjanuとかHanunhumとか他色色色々、日本のライヴシーンで活躍するバンドも広義で「プログレッシヴ」の系譜に属するものが沢山います。ただそれらを「プログレ」という狭義のニュアンスが強い言葉で形容してしまうと、ちと違うかなあと。これはある意味ポストパンク系やNYダウンタウン~ビル・ラズウェル周辺、ポストロック系の人たちも同じで、入れてみたかったんだけれど、あえて入れませんでした。例えば「コントーションズはプログレ」と言ったら、やっぱり違うでしょ(笑。そもそも収拾つかなくなるし。
そんなんで50選選びきれませんでした。 でも選ぶ作業は面白くて、他の方の50選も期待してます。

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