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ANANE :ジョグジャのチンドン・プログレ

2005. . 25
Web site Warta Jazzは、メインストリームは勿論、フリーやアヴァンギャルドなどの所謂「周辺」ジャンルをも積極的に扱う良質なサイトですが、2004年8月にGeisser- Mazzola Duoがインドネシア公演を行う、と言う記事を見つけたときは少々驚きました。横濱JAZZ PROMENADE2000でのあまりにも壮絶な演奏が未だ印象に残っているからです。更に共演者として名の挙がっているインドネシアのミュージシャンのうち、Wayang Sadrahは流石に名前は知っていたものの、もう一つのグループ"ANANE"については初耳で、しかもWEB上では全く検索にもかからず、いったいどんなグループなのか非常に気になりました。記事によればいくつかの候補からGeisser-Mazzola達自身によって選ばれたグループと言うことですから尚更です。
ライブに関する情報は結局その後もWEBでは得られなかったのですが、Geisser-Mazzolaはインドネシアツアーの後日本に立ち寄り、横浜・関内のライヴハウス「AIRGIN」でライヴを行いました。私自身もこのライヴには行き、終演後、ドラマーのHeinz Geisser氏にインドネシア公演について聞いてみたのですが、「素晴らしかった」とのコメントだけ。彼ら自身も両グループに関する具体的な情報は特に持っていなかったようです。

数ヵ月後、インドネシアロック振興の第一人者ROCKIND氏から驚くべき情報が寄せられました。なんとANANEがプログレ専門レーベルPRSからアルバムをリリースすると言う のです。「インプロできるプログレ」と言えば個人的にはあまりにもど真ん中であり、矢も盾もたまらずIndonesian Progressive Societyにコンタクト、レジュメは早速入手したの ですが、デモが届いたのは結局正規盤リリース後、というボヨヨンな結果に。(笑)
内容はと言えば非常に土着色の強い「チンドン・プログレ」とでもいう感じで個人的にはかなり気に入りました。少なくとも今までのインドネシアには無いタイプの音であることは確かで す。

さてCDのレヴューは後述するとして、TEMPO誌のコラムにANANEに関する記事が載りましたので紹介したいと思います。語学力・文章力不足でかなり読みづらいと思いますが、ご容赦ください。一般誌にRIO(所謂レコメン)の記述があるという点でも興味深いと思います。

"Musik Oposisi dari Yogyakarta"
(ジョグジャカルタからの反対派音楽)

1978年5月5日、ニューロンドン・シアターに於いて奇妙なタイトルのコンサートが開催された。"Rock In Oposition(通称RIO)=「反対する音楽/異議の音楽」(*1)。 コンサートに出演したのはヨーロッパの5つの実験的なロックバンド達。即ち;ヘンリーカウ(イギリス)、サムラ・ママス・マンナ(スウェーデン)、ストルミー・シックス(イタリア )、ユニヴェル・ゼロ(ベルギー)、そしてエトロン・フー・ルルーブラン。 彼らが叫んだ「異議申し立て」とは何だったのか?

5つの異端のグループは既存の「音楽産業」に対する異議申し立ての使命を帯びていた。彼らは音楽製作産業の慣行ともいえる「妥協」に屈することなく、より自由な創作活動を行うこと を望んだのだ。
彼らの音楽は折衷主義であり、一言で定義するのは若干難しい。所謂プログレッシヴ・ロック、即興ジャズ、大衆音楽、果ては極端な「実験音楽」まで。結果、彼ら=RIOのグループは一 種の「音楽ゲリラ」として、「プログレッシヴ・ロック」の支流と位置づけられるようになった。

27年後、このRIOと呼ばれるジャンルはジョグジャカルタから"ANANE"(アナネ)という形で復活を遂げる。2003年に結成されたこのグループは主に音楽学校の出身者達;フィルマ ン・シトンプル(チェロ、生ギター)、ユリヤンディ(フルート、電気/生ギター)、アンドゥリ・ルスタンディ(ベース)、アンディ・ゴメス(ピアノ、キーボード)、ダニエル・カエサル(ドラム)、プラモノ・パムンカス(サックス、ピッコロ、フルート、スリン)、スダルマン(ジャンベ、パーカッション):らによって構成される。
ミックスカルチャーのコンセプトに基づくことによって、ANANEはそのアイデンティティーを喧しいポップミュージックの対極に置いているようだ。にもかかわらず、ジョグジャ・スタイルを纏ったANANEの「異議」の姿勢は図らずも矛盾しているようにも思える。
「我々は特にポップカルチャーに反対してるわけでも懐疑的なわけでもない。」
プログレッシヴ・ロックに特化されたソニー・インドネシアのサブレーベルPRSレコーズからリリースされた彼らのアルバム"Evolution Ethnic"にはそんな彼らのコメント(*2)を 見ることが出来る。
ANANEはどちらかといえば、そんな「異議」の姿勢を「民俗的な要素」と他のジャンル、即ち「フリー・ジャズ」「サイケデリック」「プログレッシヴ・ロック」等、・・・・と衝突させる事によって表現することを好むようだ。彼らは伝統音楽を現代的な音楽と近づけることによって-伝統音楽あるいは今日的音楽を破壊せずに―より良きものにしようという姿勢を明白にしている。勿論これは新しい発想ではない。過去においてはGuruh Gipsy、Gang of Harry Roesli、Gengong、Discus、Krakatau、・・・他多くのグループが行ってきた事でもある。

にもかかわらずANANEが尚新しいと感じるのは、伝統音楽と西欧音楽を全く同じレベルで扱おうとする姿勢だろう。例えばマカッサルの民謡を用いた"Slebar Slebor"では反復リズムを楽曲のベースとして用い、サックス、ギター、ベースのユニゾンによってジャスロックの要素を添加する。ジャンベによるアクセントは鼓動のようだ。
FirmanとJoeliyandiによる東洋的な奇妙な単位のリズムを用いた"Kekeberen Ni Pejuang"はあらゆる抑圧を吹き飛ばすほどに強力だ。ここにおいてANANEは膨大な音楽イディオム、―トルコ、ムラユ、ペロッグ、バニュワンギのHadrah Kuntulan(*3)まで-を結合させることに最大の努力をはらい、またジャズピアノ、ドラム、ロック的なディストーションギターの強引な共演は「しっちゃかめっちゃか」な雰囲気を醸し出す。また彼らはあらゆる音楽要素を織り込む知恵にも長けている。例えば10分40秒に及ぶ"Perueren"は日々の義務を謳ったGayo(*4)の芸術家、チェ・デマン・デワンタラ(*5)によるDidong(*6)をモチーフにしたもの。勘ぐってみればユーモラスな曲と評価も出来る。 突然フラメンコギターが入ったり、ワルツになったりするところなどはFrank Zappaを思い起こさせる。 "Ho Ho Hi Heh"ではサイケデリック色の濃いキーボードをバックに、Gayoの媚術の呪文で官能的な愛の儀式を描く。またこの"Ho Ho"はニアス民族の嘆きの歌とも関連する。最盛部はカップルによる"Ho Ho Hi Heh"の成就の描写、即ちスラバヤ風の言い方をすれば「sanggama=性交」のことである。オーネット・コールマン風の繊維的サックス・インプロヴィゼーションによるこの情景描写は懸命な選択と言えよう。

彼らは全体的に、又イマジナティヴに、東西の音楽をサウンドエフェクトとして用いるのに熱心の様だ。残念なのはこうした「混合・融合」に熱心なあまり、時として統一感に欠ける印象もある。再度に深くテーマ性を追求し直すことが彼らを、暗喩による抗議表明かRIO的音楽要素による急進性かは兎も角、単なる「異議」からではない、成就に向かわせることであろう。(了)
デニー・シャクリー(TEMPO誌 2005年8月29日-9月4日号 72頁より)

【注釈】
*1:RIO(Rock In Opposition)
プログレファンならばご存知、70年代末期に出てきた"前衛的"なプログレッシヴロックの潮流。こちらの佐々木敦氏の解説が判り易いです。⇒R.I.O. 1993 ――アヴァンギャルド・ロックの現在
*2:コメント
アルバムカバー背面のノート(英語)参照。
*3:Hadrah Kuntulan
ジャワの都市、バニュワンギの舞踊音楽。
*4:Gayo
スマトラ北部、アチェ地域の内陸山間部、バタック系ガヨ民族の事。
*5:チェ・デマン・デワンタラ(Ceh Deman Dewantara)
Gayo族の伝統芸術家。GAM(自由アチェ運動)の幹部Tengku Ilyas Leubeに近いらしい。
*6:Didong
アチェの伝統歌謡。

ぜえぜえ。

と言うわけで、アルバムのショートレヴューです。

ANANE 「Evolution Ethnic-"Slebar Slebor"」PRS Records 520495.2
プログレ的にはサムラとかファーマーズ・マーケットとか、要はある種の「アホアホ系」として捉えられている様で、強引且つマヌケな曲展開はそうした表現に充分当てはまると思います。かなり土俗的な要素が濃厚で、泥臭さでは前述の2グループよりも寧ろオザンナやコンパーニャ・エレクトリカ・ダルマ辺りに近いかも。特に2曲目の"Kekeberen Ni Pejuang"、 ジャケの解説に拠れば「ポリリズム的爆発」との事ですが、むしろ単なる大爆発(笑)。無茶な雷太鼓にアザーンみたいな女声とメロトロンが被さる様は快哉モノ。又4曲目の"Ho Ho Hi Heh"はSabah habbas Mustafaの"Geulis"みたいなオッサン声がイイ味出してます。最後に息切れするところなんぞ上述の記事を読んでもらえれば結構笑えるのでは。
さてさて、本作の最大の問題点と言えばミックスの乱暴さ。継ぎ接ぎマル解りなところはかなり趣を殺いでしまい勿体無い事この上ない。只PRS/IPSサイドに届いた時点ではファイナル・ミックス、とされていたそうで改善の余地は無かったらしいですが・・・。
それにしてもジョグジャのグループなのに大半がアチェの曲をモチーフにしていると言うのはどういうわけか。この辺りは本人達に聞いてみたい所です。
泥クサ系大好きな方にはお奨め。今までのインドネシア的叙情シンフォを求める方は手を出さない方が良いかも。


さて、上記の邦訳については余りにもアレなので後日又改稿するやもしれません。宜しくご了解いただきたく。


おまけ。Geisser-Mazzola DuoをAmazonで試聴。
Album "Folia"

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